ボールパイソンの湿度は、「何%に合わせるか」ばかりが話題になりがちです。ただ、数字を知っていても、足りないときに上げる手段と、多すぎるときに下げる手段が手元になければ、日々の管理では役に立ちません。この記事では、目安の数字は出典ごとの幅のまま紹介し、そのうえで測る場所、上げる手段、下げる手段、高すぎ・低すぎのサインを順に整理します。飼育全体の前提はボールパイソンの飼い方にまとめています。
ボールパイソンの湿度は「数字」より「上げる手段と下げる手段を持つこと」
湿度は、霧吹きをすれば上がり、時間がたてば下がります。動物保護団体(RSPCA)の飼育ガイドも、霧吹きで約80%まで上げ、その間に下がらせるという考え方を示しています。常に高いままにはせず、上げて下げることを一組で捉えるわけです。
同じガイドは、湿度が常に高すぎるなら換気を増やすことにも触れています。つまり湿度管理は、上げる手段と下げる手段の両方を持ち、湿度計の数字を見ながら行き来させる作業です。以降の節では、この順番で手段を並べていきます。
目安の数字は出典で幅が違う
目安の数字は、参照する出典によって幅が違います。
| 出典 | 目安 |
|---|---|
| 動物保護団体(RSPCA)の飼育ガイド | クール側で測り、通常50〜60%。呼吸器の健康と脱皮のため |
| 獣医のケアシート(ロイヤル獣医センター) | 55〜70%程度に保ち、脱皮中は70〜80%に向けて上げる |
獣医のケアシートは、健康問題の欄でも脱皮不全の予防として60〜70%に触れており、動物保護団体の通常値とは幅が重なりつつ違います。どちらかに寄せて「正解は何%」と断定することはできません。このサイトの他の記事が「50〜60%、脱皮前は60%以上」と書いているのは、動物保護団体の通常値と同じ幅です。
幅があることを前提にすると、見るべきものも変わります。ひとつの数字に合わせ込むより、湿度計を毎日読んで普段の値を把握し、足りない側にも多すぎる側にも動かせる状態にしておくほうが、管理としては現実的です。脱皮中の湿度の見方はボールパイソンの脱皮で扱っています。
測り方:クール側に温湿度計を置く
湿度は、ハイグロメーター(湿度計)で測ります。動物保護団体の飼育ガイドは、測る場所をクール側としています。ケージ内でホット側とクール側を分ける考え方は、ボールパイソンの温度管理で扱っています。
温度と湿度を一台で読める温湿度計なら、置き場所をひとつ決めるだけで、毎日の確認が済みます。
数字を読むときは、一回の値だけで判断せず、毎日同じ場所で測って変化を追うのが基本です。
上げる手段:霧吹き・床材・ウェットシェルター・ケージの材質
湿度を上げる手段は、出典に挙がっているものだけでも4つあります。
霧吹き
きれいな水を霧吹きし、約80%まで上げて、その間に下がらせます。常時高いままにしないことが要点です。
床材
保湿性のある床材を選ぶ方法です。獣医のケアシートは、ヤシガラ、サイプレスマルチ、バイオアクティブ土壌を挙げています。動物保護団体の飼育ガイドによれば、有機土は湿度を保ち、カビにくい床材です。天然の落ち葉も湿度を保ちますが、使う前に熱湯消毒をして乾かしてから入れる必要があります。床材ごとの保湿性の違いはボールパイソンの床材で比較しています。
ウェットシェルター
湿らせたコケを入れた隠れ家を、ケージに1つ置きます。脱皮のときは、餌を食べずにそこを使うことがあります。
ケージの材質
ケージそのものの材質も関係します。獣医のケアシートは、側面がふさがれた木製やPVC製のケージは、メッシュ張りよりも保温・保湿に優れるとしています。通気とのバランスはボールパイソンのケージで整理しています。
下げる手段と、高すぎる・低すぎるときのサイン
下げる手段は換気
湿度が常に高すぎるなら、換気を増やします。動物保護団体の飼育ガイドは、細菌やカビの蓄積を防ぐためとしています。有機土を使っていてもカビが出るなら、湿度が高すぎるか、換気が足りないサインです。上げる手段を足す前に、まず今の湿度が高すぎないかを数字で確かめてください。
高すぎるときのサイン
呼吸器の感染は、湿度が高すぎて換気が悪い環境で起きやすいとされています。獣医のケアシートも、淀まない湿度と換気を求めています。症状としては、呼吸のときのヒューヒュー音や、首を伸ばしてあえぐ様子が挙がっています。
低すぎるときのサイン
獣医のケアシートによれば、慢性的な低湿度は、脱皮不全と呼吸器の問題を引き起こします。脱皮のたびに皮がうまく脱げないときは、湿度が足りているかを見直す手がかりになります。
注意
呼吸の様子がおかしい、脱皮不全が続くといったときは、湿度の調整だけで済ませず、爬虫類を診られる動物病院に相談してください。受診の目安はボールパイソンの健康チェックにまとめています。
立ち上げの1週間で調整しておく
動物保護団体の飼育ガイドは、ボールパイソンを迎える1週間前からケージを稼働させ、その間に湿度を調整しておくことを勧めています。
先に1週間かけて、霧吹きで上げたときの動きと、下げたいときの換気の効き方を確かめておけば、湿度計の数字を読みながら両方向に動かせる状態で迎えられます。
まとめ
- 目安は出典で幅が違います。動物保護団体の飼育ガイドは通常50〜60%、獣医のケアシートは55〜70%程度で、脱皮中は70〜80%に向けて上げるとしています。どちらかに寄せて断定せず、幅のまま持っておきます。
- 湿度計はクール側に置き、毎日同じ場所で測ります。
- 上げる手段は、霧吹き、保湿性のある床材、湿らせたコケのウェットシェルター、側面がふさがれたケージの材質です。
- 下げる手段は換気です。高すぎる状態が続くと、カビや呼吸器の感染につながりやすくなります。低すぎる状態が続くと、脱皮不全や呼吸器の問題につながります。
- 迎える1週間前からケージを稼働し、その間に湿度を調整しておきます。
体調に不安があるときは、動物病院への相談を優先してください。