フトアゴヒゲトカゲ(フトアゴ)に紫外線ライトが要ることは、飼育を調べ始めた時点でほとんどの人が知っています。つまずくのはその次です。直管の蛍光灯、電球型、水銀灯、メタハラと形も価格もばらばらで、どれを買えばいいのか決められない。この記事は、商品を並べる前に「2灯構成にするか、兼用1灯構成にするか」を決めるところから始めます。

標準的な構成の中心になるのが、ケージの上に横向きに渡す直管型のUVBランプです。

先に決めること:フトアゴのUVBは「強め」を選ぶ

フトアゴはオーストラリアの乾燥地帯から砂漠にかけて分布する種で、必要とする紫外線の量は爬虫類のなかでも多い部類です。製品は弱い側ではなく強い側を選ぶのが原則になります。

製品表記でいうと UVB15010.0 と書かれたグレードが該当します。UVB1005.0 は森林にすむ種を想定した設定なので、フトアゴには足りません。同じシリーズが数種類並んでいることが多いので、パッケージの数字を確認してから手に取ってください。

なぜ紫外線が要るのかという前提はフトアゴヒゲトカゲの飼い方【初心者版】で扱っています。この記事は「では、どれを買うか」から進みます。

4つの型と、それぞれ何が変わるか

紫外線ライトは大きく4つの型に分かれます。違うのは光の質だけではありません。バスキングライトを兼ねられるかどうかで、必要な器具の数そのものが変わります

代表製品 バスキング兼用 灯数 向くケース
直管蛍光灯 レプタイルUVB150 ほか 兼用不可 2灯 広く均一に当てたい/90cm以上
コンパクト(電球型) レプティサン 26W ほか 兼用不可 2灯 小さめのケージ/費用を抑えたい
水銀灯 ソーラーグローUV 125W 兼用できる 1灯 器具の数を減らしたい
メタハラ(HID) ソーラーラプター HID 35/50/70W 兼用できる 1灯 明るさ・見え方を重視
ライトドーム・クリップスタンド (器具側) 該当なし 数に含まない 口金と対応W数を必ず確認する

2灯構成:UVBと熱を別々に調整できる

直管型とコンパクト型はUVBを出しますが、熱はほとんど出しません。別にバスキングライトを用意して2灯にします。

利点は紫外線と温度を独立して動かせることです。暑すぎるならバスキング球のワット数を下げればよく、UVB側はそのままにできます。そのぶんケージ上部のスペースと電源の口数を使います。

兼用1灯構成:器具は減るが、調整は距離で行う

水銀灯とメタハラは、UVBと熱を1灯でまかないます。ソーラーグローUVが水銀灯、ソーラーラプターHIDがメタハラです。

利点は器具が1つで済むことです。ケージ上部がすっきりし、電源も1口で足ります。

注意点は、UVBと熱がセットで動くことです。「紫外線はこのままで温度だけ下げたい」ができません。調整はライトとバスキングスポットの距離で行うため、設置後に実測して高さで合わせる作業が要ります。バスキングを何℃にするかはフトアゴの温度管理で扱っているので、兼用1灯を選ぶならセットで読んでおくと迷いません。

メモ

どちらが優れているという話ではなく、「調整のしやすさか、器具の少なさか」の選択です。初めての1台なら2灯構成のほうが手戻りは少なく済みます。

UVB強度の表記の読み方

混乱しやすいのが、メーカーごとに表記が違うことです。

  • UVB150 UVB100 のように数字で示すもの
  • 10.0 5.0 のようにパーセント風の数字で示すもの
  • デザート フォレスト のように生息環境の名前で示すもの

いずれも強い側・弱い側を表しています。フトアゴが選ぶのは強い側、UVB150 10.0 デザート にあたるグレードです。

ただし表記の基準はメーカーによって異なり、同じ「10.0」でも実際の出力や想定する照射距離は製品ごとに違います。細かく比較したい場合は、購入する製品のメーカー公表値を必ず確認してください

設置で失敗しやすい3点

同じ製品でも、置き方で届く紫外線は変わります。

1. 距離:紫外線は離れるほど弱くなります。想定する距離は製品ごとに決まっているので、メーカーが示す推奨距離に従って設置してください。「とりあえず天井に付けた」だと届いていない可能性があります。

2. メッシュ蓋の減衰:蓋越しに照らす場合、メッシュを通る分だけ紫外線は減衰します。落ち方は目の細かさや素材で変わるため一律の数字では言えません。ケージ内に吊り下げられる製品もあるので、蓋越しで使う前提かどうかは購入時に確認しておくと後で困りません。

3. 長さと照射範囲:直管型はケージの長さの3分の2から4分の3程度を目安にします。いっぱいの長さにしないのは、当たる場所と当たらない場所をつくるためです。温度に勾配をつけるのと同じ考え方で、浴びる量をフトアゴ自身に選ばせます。ケージの寸法から逆算するので、まだ決めていないならフトアゴのケージの選び方を先に見ておくと悩まずに済みます。

交換時期と、忘れないための運用

紫外線ライトは、点灯していても紫外線の出力は落ちていきます。普通の照明といちばん違う点です。

交換の目安は一般に6か月から1年とされますが、具体的な月数は製品ごとにメーカーの公表値が異なります。購入した製品の表示を確認し、その値に従ってください。

厄介なのは、見た目で切れ時を判断できないことです。明るく点いていても紫外線が出ていないことはあり得ますし、目視で量を確認する方法もありません。見た目ではなく日数で管理するのが現実的です。

  1. ランプ本体にマスキングテープを貼り、設置日を油性ペンで書く。ケージを覗いたときに目に入ります
  2. カレンダーに「UVB交換」を、設置日+6か月(または製品の指定月数)で登録する。通知を付けておけば忘れません
  3. 交換したらテープを貼り替え、カレンダーも次の日付に更新する

メタハラのように器具とランプが分かれている製品では、交換球だけを型番で買えることがあります。ソーラーラプターHIDにも交換球が用意されています。買う段階で入手性を確認しておくと、時期が来たときに慌てません。

注意

交換を忘れて使い続けると、紫外線が足りない状態が続きます。紫外線の不足はカルシウムの代謝に関わり、骨の病気につながることが知られています。食欲が落ちた、動きがぎこちない、手足が腫れているように見えるといった変化があれば、自己判断せず爬虫類を診られる動物病院に相談してください。

カルシウムは食事側も関わります。与える野菜やサプリメントはフトアゴに与える野菜にまとめてあります。

予算別の構成例

価格は時期や販売店で変わるため、組み合わせだけを示します。

構成 内容 灯数 特徴
費用を抑える コンパクトUVB + バスキング球 2灯 初期費用が低い。照射範囲は狭め
標準 直管UVB + バスキング球 2灯 広く均一に当たり、調整もしやすい
器具を減らす 水銀灯またはメタハラ 1灯 上部がすっきり。調整は距離で行う

2灯構成では、UVBランプのほかにバスキング球と、電球型なら器具(ライトドームやスタンド)も要ります。器具側は口金の規格と対応ワット数が製品ごとに決まっているので、ランプの仕様と突き合わせてから買ってください。合っていないと、届いても点けられません。

よくある質問

Q. 昼だけ点ければいいのでしょうか

日中に点灯し、夜間は消します。明るい時間と暗い時間のサイクルをつくるためです。タイマーを使うと点け忘れ・消し忘れを防げます。

Q. 切れていないのに交換する意味はありますか

あります。点灯していても紫外線の出力は時間とともに落ちるためです。「切れたら交換」ではなく「日数で交換」と考えてください。

Q. メタハラは必須ですか

必須ではありません。直管UVBとバスキング球の2灯でも飼育はできます。器具を1つにまとめたい場合や、明るさを重視する場合の選択肢です。

まとめ

選ぶ順番を決めてしまえば、迷う場面はかなり減ります。

  1. 2灯構成か兼用1灯構成かを先に決める。ここで型が絞れます
  2. 型が決まったら、強度は強い側(UVB150 / 10.0 / デザート)を選ぶ
  3. 設置は距離・蓋の減衰・照射範囲の3点を確認する。直管はケージの3分の2から4分の3
  4. 交換は見た目ではなく日数で管理する。本体に日付を書き、カレンダーに登録しておく
  5. 電球型・水銀灯・メタハラを使うなら、器具側の口金と対応ワット数を突き合わせる

紫外線ライトは買って終わりではなく、日数で入れ替えていく消耗品です。最初に構成を決め、交換日を記録する仕組みまで作ってしまえば、あとは淡々と回せます。温度側とあわせて考えたい人はフトアゴの温度管理を、飼育全体の流れから確認したい人はフトアゴヒゲトカゲの飼い方【初心者版】もご覧ください。