クレステッドゲッコー(クレス)の餌といえば、専用の粉末フード「CGD」を水で溶いて与えるスタイルがまず挙げられます。コオロギなどの生き餌を用意しなくても飼育できる点はクレスの大きな特徴ですが、「本当にこの粉末フードだけで栄養が足りるのか」という疑問は、飼い始める前にほとんどの人が持つところだと思います。この記事では、CGDがどんなものか、溶き方と与える量の考え方、頻度の目安、食べない時に確認する順番、生き餌や果物の位置づけまでを順番に整理します。飼育の基本データや必要な用品の全体像はクレステッドゲッコーの飼い方にまとめているので、そちらもあわせてご覧ください。
クレスの餌の中心になるのが、このCGDです。
CGDとは何か
CGDは「クレステッドゲッコーダイエット」の略で、クレスをはじめとするニューカレドニア原産のヤモリ向けに設計された、粉末状の総合栄養食を指す呼び方です。水で溶いてペースト状にし、皿に置いておくだけで与えられる手軽さから、クレスの飼育で最も広く使われている餌の形になっています。
もともとクレスは野生下で果実や花の蜜、昆虫などを幅広く食べる雑食性の生き物です。CGDはこの食性を踏まえて、果実由来の成分やビタミン・ミネラルなどを配合し、これ一つで栄養がまかなえるように設計された製品カテゴリだと考えてください。メーカーごとに配合や濃度の考え方が異なるため、「CGDというジャンルの中に複数の製品がある」という理解が実態に近いです。
溶き方と与える量の考え方
CGDは基本的に、粉末を水で溶いてとろみのあるペースト状にしてから与えます。ここで大事なのは、水の量や濃度の目安は製品によって設計が違うという点です。同じCGDというジャンルでも、メーカーが想定している水分量や粘度は製品ごとに異なるため、この記事では具体的な水の量や比率は示しません。必ず製品パッケージに書かれている溶き方の表示に従ってください。
濃度が薄すぎると栄養が薄まったり傷みやすくなったりし、濃すぎると粘度が高くなって食べにくくなることがあります。どちらの場合も、パッケージの指示範囲から大きく外れないようにするのが基本です。
与える量についても同様に、個体の大きさや食欲によって適量は変わります。目安としては、小皿に薄く伸ばした状態で、その個体が数日のうちに食べきれる範囲にとどめておくと、食べ残しによる衛生面の問題を避けやすくなります。量に迷う場合も、まずは製品の表示を基準に、食べ残しの量を見ながら調整するのが安全です。
与える頻度の目安
頻度についても、成長段階によって幅があります。成長期の幼体は代謝が高く、成体よりも頻度を上げて与えるのが一般的です。体が出来上がった成体は、週2〜3回程度を目安にする飼い方がよく見られます。
ただしこれもあくまで目安で、個体差や季節(気温が下がると食欲が落ちる時期がある)によって前後します。給餌の間隔に迷ったときは、次に与えるタイミングで前回の食べ残りを確認し、食べきれていないようなら少し間隔を空ける、という調整のしかたが実務的です。製品によっては給餌頻度の目安がパッケージに記載されている場合もあるので、そちらも参考にしてください。
食べない時に確認する順番
CGDを置いてもすぐに食べない、あるいは急に食べなくなったという相談は珍しくありません。焦って生き餌に切り替える前に、次の順番で確認してみてください。
- 温度と湿度:22〜26℃の範囲から外れていないか、乾燥しすぎていないか
- CGDの状態:溶いてから時間が経って乾いていないか、匂いや色が変わっていないか
- 置き場所:登り木の近くなど、クレスが移動しやすい高さに置けているか
- 個体の様子:脱皮前で動きが鈍くなっていないか、体色や体つきに変化がないか
- 季節や環境の変化:ケージ移動や引っ越し直後など、ストレスがかかる出来事がなかったか
この順番を一通り見直しても改善しない、あるいは体重の減少や長期間の拒食が続く場合は、様子見を続けずに爬虫類を診られる動物病院に相談してください。
生き餌を足すかどうか
CGDは、これ単体で栄養がまかなえるように設計されている製品が主流です。そのため「生き餌を必ず用意しなければいけない」というものではありません。一方で、生き餌を与えてはいけないという話でもありません。コオロギなどの生き餌は、栄養面のバリエーションを増やしたり、CGDの食いつきが良くない個体に嗜好性の高い餌として与えたりする目的で、併用してもよい位置づけとして考えておくのが実態に近いところです。
生き餌をどこまで使うかは、飼育スタイルや個体の好みによって差が出る部分です。CGDだけで安定して食べている個体に無理に生き餌を足す必要はありませんが、選択肢の一つとして知っておくと、食べムラが出たときの対応の幅が広がります。
果物を与えてもいいのか
クレスは野生下で果実も口にする生き物なので、少量の果物をおやつ的に与える飼い方も見られます。ただし、CGDにはもともと果実由来の成分が配合されている製品が多いため、栄養面での必要性という意味では、果物を追加しなくてもCGDだけで基本の設計はまかなえるようになっています。
果物を与える場合は、常食にはせず、ごく少量にとどめるのが無難です。与えすぎるとCGDを食べなくなって偏食気味になったり、便が緩くなったりすることがあります。果物はあくまで嗜好品という位置づけで考えておくとよいでしょう。
置き餌の交換時間と衛生
CGDは水で溶いた時点から時間が経つと乾燥したり傷んだりしていきます。置いてから半日から1日程度を目安に、食べ残しがあれば早めに取り除き、餌皿を洗ってから次のぶんを用意するようにしてください。特に気温の高い時期は傷みが早くなるため、置きっぱなしにしないことが衛生管理の基本になります。
餌皿の洗浄に加えて、CGDを口元に運んだり、食べムラのある個体に少量ずつ与えたりする場面では、先の細いピンセットがあると扱いやすくなります。
尾を自切させないための扱い方や、日々のハンドリングの慣らし方はクレステッドゲッコーのハンドリングと尾の自切にまとめています。餌やりの際に個体を驚かせないためにも、あわせて確認しておくと安心です。また、CGDの状態は温度と湿度の影響を受けやすいので、季節ごとの管理はクレステッドゲッコーの温度と湿度も参考にしてください。人工フードという発想自体は他種の飼育でも使われており、レオパが人工フードを食べない時の対処法も、食べムラへの向き合い方という点で参考になります。
まとめ
CGDは、水で溶くだけでクレスの基本的な栄養をまかなえるように設計された、扱いやすい餌です。ただし濃度や量、給餌頻度の細かい設計は製品ごとに異なるため、最終的には手元の製品に書かれている表示に従うのが基本になります。生き餌や果物は禁止ではなく、栄養や嗜好性を補う選択肢として持っておくものと考えておくと、食べムラが出たときにも慌てずに対応しやすくなります。