コーンスネークを探し始めると、アメラニスティック、アネリスティック、スノー、ブリザードと、聞き慣れない名前が次々に出てきます。色や柄の変種は「モルフ」と呼ばれ、獣医のケアシートはコーンスネークのモルフを「数えきれないほどある」と表現しています。飼育情報サイトでは100種以上とも言われます。この記事では、モルフを一覧で並べるのではなく、名前の読み方を軸に整理します。色の名前を「何が抜けたか」で読めるようになると、初めて見る名前でも、おおよその見た目を想像できるようになります。あわせて、劣性遺伝と「het(ヘテロ)」の意味、柄のモルフ、飼い方がモルフで変わるのかを、出典に書かれている範囲でまとめます。飼育全体の数値はコーンスネークの飼い方にまとめてあります。

コーンスネークのモルフは、名前の読み方を知ると一覧が要らなくなる

コーンスネークのモルフは、一覧で覚えようとすると行き詰まります。獣医のケアシートが「数えきれないほど」と書くとおり、数が多すぎるからです。

ただ、名前の多くは、いくつかの基本の要素を組み合わせて付けられています。基本になるのは、色に関わる3つの名前です。アメラニスティック(アルビノ)、アネリスティック、ハイポメラニスティック。この3つは、それぞれ「何が抜けたか」「何が減ったか」を表しています。

そして、スノーやブリザード、ゴーストといった名前は、この基本の要素を2つ組み合わせたものに付けられた呼び名です。つまり、基本の3つを読めるようになれば、組み合わせの名前も、何と何が重なった色なのかとして読めます。一覧を丸ごと覚える必要は無く、要素に分けて読むという考え方で、この記事は進めます。

色の名前は「何が抜けたか」で読む:アメラ・アネリ・ハイポ

まず、基本になる3つの名前を見ていきます。

アメラニスティック(アメラ)は、アルビノとも呼ばれます。黒い色素(メラニン)が無いモルフです。黒が抜けるので、残った赤やオレンジ、白が鮮やかに見えます。目は赤です。「メラニン(黒)が無い」と読むと、名前と見た目がつながります。

アネリスティック(アネリ)は、赤い色素が無いモルフです。赤が抜けるので、灰色・白・黒のモノトーンになります。アネリにはA、B、Cの系統があり、Bはチャコール、Cはシンダーとも呼ばれます。ここで押さえておきたいのは、アネリAとチャコール(アネリB)は、見た目が似ていても別の遺伝子だという点です。別の遺伝子なので、AとBを掛け合わせても、アネリの見た目の子は出ません。この違いは、次の節の「スノー」と「ブリザード」の違いに直接つながります。

ハイポメラニスティック(ハイポ)は、黒い色素が「減る」モルフです。アメラと違って、黒が無くなるわけではありません。全体の黒が少ないモルフです。目は黒のままです。「ハイポ」は「少ない」という意味で、「メラニンが少ない」と読めます。

3つを並べると、アメラは黒が無い、アネリは赤が無い、ハイポは黒が減る、となります。この3行を覚えておくだけで、次の組み合わせの名前が読めるようになります。

組み合わせの名前:スノー・ブリザード・ゴースト

スノー、ブリザード、ゴーストは、どれも前の節の要素を2つ重ねたモルフです。名前は雪や吹雪、幽霊といった比喩ですが、中身は要素の足し算で説明できます。

スノーは、アメラとアネリAの組み合わせです。黒が無く、赤も無いので、残るのは白から薄いピンクまでの淡い色になります。「黒が無い」と「赤が無い」を足した結果が、雪のような白さです。

ブリザードは、アメラとチャコール(アネリB)の組み合わせです。アネリAではなくチャコールと組むと、スノーよりさらに白く、柄も薄くなります。前の節で、アネリAとチャコールは別の遺伝子だと書きました。スノーとブリザードが別の名前で呼ばれているのは、組み合わせる相手が別の遺伝子だからです。

ゴーストは、アネリAとハイポの組み合わせです。赤が無く、黒も減るので、淡く透けるようなグレーになります。

このように、組み合わせの名前は、要素に分解すると見た目の説明に変わります。初めて見る名前でも、販売元の説明に「アメラ」「アネリ」「ハイポ」のどれが含まれているかを確かめれば、おおよその色の方向は読めます。

劣性遺伝と「het」:ノーマルに見えて、持っている個体

モルフの名前と並んで、販売の場面でよく出てくるのが「het(ヘテロ)」という言葉です。これを読むには、遺伝の型を一つだけ知っておく必要があります。

コーンスネークのモルフの大半は、劣性遺伝です。劣性の遺伝子は、2コピー持っていると見た目に出ます。1コピーしか持っていない個体は、見た目はノーマルのままです。この「1コピーだけ持っていて、見た目には出ていない個体」を、het(ヘテロ)と呼びます。たとえば「het アメラ」と書かれていれば、見た目はノーマルだが、アメラの遺伝子を1コピー持っている個体、という意味になります。

het の個体どうしを掛け合わせると、生まれる子の約4分の1が、見た目にそのモルフとして出ます。アルビノの例で言えば、het アルビノ同士の子のうち、約4分の1がアルビノの見た目になる、ということです。残りは見た目がノーマルで、その中に het が含まれます。この記事では、繁殖の組み方そのものには踏み込みません。買う側として知っておきたいのは、「ノーマルに見える個体が、モルフの遺伝子を持っていることがある」という一点です。

ここから、購入時の確認が一つ出てきます。ノーマルに見える個体でも、het の可能性があります。見た目だけでは分からないので、気になる場合は、販売元に遺伝子情報を確認します。販売元が把握している範囲でしか分かりませんが、聞かずに決めるよりは、持っている情報の範囲がはっきりします。

柄のモルフと、飼い方はモルフで変わるのか

ここまでは色のモルフを扱ってきましたが、モルフには柄が変わるものもあります。代表的なのがモトレーとストライプです。モトレーは、背中の斑紋が丸やドーナツ状になる柄で、ストライプは縦縞になります。どちらも色ではなく柄が変わるモルフなので、色のモルフと組み合わせて使われます。たとえば、色の名前と柄の名前が並んで付いていれば、色は前者、柄は後者で読み分けられます。柄のモルフの遺伝の型については、出典の間で説明が一致していないため、この記事では書きません。

では、飼い方はモルフで変わるのでしょうか。動物保護団体(RSPCA)の飼育ガイドが、モルフ別の飼い方として挙げているのは一点だけです。アルビノなど一部のモルフは、UVBを低めにすること。数値としては、日陰で0、最大でも0.7が示されています。UVBの設置の考え方や、他の数値との関係は温度の記事のUVBの節にまとめてあります。この一点を除けば、出典はモルフごとの飼い方の違いを挙げていません。温度、湿度、ケージ、餌といった基本は、モルフが違っても同じ記事の内容で足ります。

なお、ヘビの種類によっては、モルフと体質の関係が話題になるものがあります。ボールパイソンについてはボールパイソンのモルフの記事で扱っています。コーンスネークについては、この記事で参照した出典にモルフごとの体質の記述が無いため、ここでは書きません。他の種の話をコーンスネークに持ち込まないようにしてください。

まとめ

コーンスネークのモルフについて、この記事で整理した内容をまとめます。

  • モルフは数えきれないほどあり、飼育情報サイトでは100種以上とも言われる。一覧で覚えるより、名前を要素に分けて読む
  • 色の基本は3つ。アメラニスティック(アルビノ)は黒が無く、赤・オレンジ・白が鮮やかで目は赤。アネリスティックは赤が無く、灰・白・黒のモノトーン。ハイポメラニスティックは黒が減り、目は黒のまま
  • アネリにはA・B(チャコール)・C(シンダー)の系統があり、AとBは別の遺伝子
  • スノーはアメラ+アネリAで白から薄いピンク。ブリザードはアメラ+チャコールでさらに白く柄が薄い。ゴーストはアネリA+ハイポで淡く透けるグレー
  • モルフの大半は劣性遺伝。2コピーで見た目に出る。1コピーの個体は het(ヘテロ)で、見た目はノーマル
  • het 同士の子は約4分の1が見た目に出る(アルビノの例)
  • ノーマルに見えても het の可能性がある。気になる場合は販売元に遺伝子情報を確認する
  • モトレー(背中の斑紋が丸やドーナツ状)とストライプ(縦縞)は、色ではなく柄が変わるモルフ。色のモルフと組み合わせて使う
  • 飼い方でモルフ別に出典が挙げているのは、アルビノなど一部のモルフはUVBを低めに(日陰で0、最大0.7)の一点のみ

名前の数は多いままですが、読み方は「何が抜けたか」と「何と何を重ねたか」の2つに整理できます。この2つを手元に置いておけば、販売元の説明に並ぶ名前を、見た目の説明として読めるようになります。