コーンスネークは、成長に合わせて古い皮を脱ぎます。うまく進めば、飼い主がすることはほとんどありません。困るのは、皮が途中で残ったときと、それが何度も続くときです。この記事では、正常な脱皮の流れをまず短く押さえたうえで、脱皮の前後に湿度をどう上げるか、やらないほうがよいこと、皮が残ったときの対処、繰り返す場合に見直す環境の順に、動物保護団体の飼育ガイドと獣医のケアシートに書かれている範囲で整理します。温度やケージなど飼育全体の基本はコーンスネークの飼い方にまとめてあります。
この記事の軸はひとつです。脱皮のために湿度を上げるとき、ケージ全体を湿らせるのではなく、ウェットシェルターの中だけを局所的に上げる、ということです。湿度は皮膚と脱皮のために欠かせない一方で、上げすぎにもサインがあります。
正常な脱皮の流れ
ヘビは、古い皮を1枚につながった形で脱ぎます。脱ぎ終わった皮が頭から尾の先までひと続きになっているかどうかが、うまく脱げたかを見る目印のひとつです。
脱皮の前には、しばらく隠れて過ごすようになります。この時期にウェットシェルターを使う個体もいます。そのあと、体をケージの中の物にこすりつけて、古い皮を脱いでいきます。正常な脱皮では、古い皮はすんなり取れます。こすりつけても取れない、途中で止まっている、といった様子があれば、それは後の章で扱う「皮が残った」状態です。
頻度については、決まった間隔はありません。若く、成長している時期ほど多く脱ぎます。「何週間ごと」といった数値は出典に示されていないので、この記事でも置きません。
脱皮前後の湿度:ケージ全体ではなくウェットシェルターで
コーンスネークの普段の湿度は、40〜60%が目安です。動物保護団体の飼育ガイドは40〜50%としています。この範囲で分かるとおり、ケージ全体を湿らせる飼い方はしません。
脱皮の前後だけ、局所的に湿度を上げます。使うのは、湿らせた水苔を入れたウェットシェルターです。ホット側とクール側にそれぞれ置いているシェルターに加えて、3つ目のシェルターとして用意します。獣医のケアシートは、脱皮の際はウェットシェルターを使って65〜70%に向けて上げる、としています。ケージ全体を湿らせるのではなく、湿った場所を1か所作る形です。
上げすぎにも注意が要ります。動物保護団体の飼育ガイドは、皮膚の水ぶくれは湿りすぎのサインになりうる、としています。ウェットシェルターの中だけでなく、ケージ全体が湿った状態が続いているなら、それは上げすぎの側です。湿度が高すぎるようなら、換気を増やして下げます。
40〜60%と65〜70%の差は、目で見て分かる幅ではないので、温湿度計で数値を見ます。普段の湿度が範囲に入っているか、脱皮前後にウェットシェルターの周りが上がっているかを、感覚ではなく数字で確かめます。
温度は、脱皮の時期も普段の範囲を守ることが前提です。温度の値はこの記事では扱わず、飼い方の記事の基本データの表に任せます(後の章にリンクがあります)。
脱皮の前後にやらないこと
脱皮の前後は、触らないのが原則です。この時期のヘビは防御的になります。ハンドリングは、脱皮が終わるまで入れません。獣医のケアシートも、脱皮中は数日休ませるとしています。
餌についても同じです。脱皮の前後に差し出した餌に反応しないときは、無理に続けず、脱皮が終わってから改めて差し出します。この時期の給餌の考え方はコーンスネークの餌にまとめてあります。
もうひとつは、脱皮の途中で皮が残っていても、引っ張らないことです。無理に引っ張ると、下にある新しい皮を傷めます。手で取れそうに見えても剥がさず、次の章の方法を試します。
皮が残ったとき
体の皮が残ったとき
古い皮が体に残ったら、少し温かい水に浸けてみます。動物保護団体の飼育ガイドがまず勧めているのはこの方法です。浸ける水の温度や時間は出典に示されていないため、この記事でも数値は置きません。「少し温かい」という表現の範囲を超えない、ぬるい水を使ってください。
ここでも、引っ張らないという原則は変わりません。浸けたあとも、残った皮を手で剥がさないでください。
目の皮が残ったとき
目の皮は別に扱います。脱皮のあとも目に古い皮が残っている場合は、なるべく早く取る必要があります。ただし、自分で剥がしてはいけません。取り方は、爬虫類を診られる獣医に教わってください。体の皮と違って、目に残った皮は様子を見る対象ではなく、早めに受診する対象です。
何度も残るなら環境を見直す
1回だけ皮が残ったのであれば、前の章の方法で対処して終わりです。同じことが何度も起きるなら、見るのは個体ではなく環境です。動物保護団体の飼育ガイドは、脱皮の問題がよく起きるなら、たいていケージの環境の調整で改善する、としています。
見直す順番は、この記事の軸に沿って3つです。
- ウェットシェルターがあるか。脱皮前に使えるウェットシェルターが無いなら、まずそこからです。湿らせた水苔を入れた3つ目のシェルターを置き、脱皮前後に使える状態にしておきます。
- 湿度計がどこを測っているか。ケージ全体の湿度が40〜60%に入っていても、ウェットシェルターの中が上がっていなければ、脱皮に使える湿った場所は無いのと同じです。逆に、ケージ全体が65〜70%に近いなら、それは上げすぎの側です。どこの湿度を見て「足りている」と判断しているかを確かめます。
- 温度が普段の範囲か。湿度だけを見て温度を見落とさないように、合わせて確かめます。値はコーンスネークの飼い方の表を参照してください。
環境を整えたうえで、皮膚の状態も確かめておきます。健康な皮膚は、なめらかで、水ぶくれがありません。目は澄んで明るい状態です。水ぶくれは湿りすぎのサインになりうる、脱皮の問題の繰り返しは環境の調整で改善する、というのが出典の書き方で、皮膚と脱皮の様子は環境を映しています。
環境を調整しても皮が残り続ける場合や、水ぶくれなど皮膚に変化がある場合は、爬虫類を診られる動物病院に相談してください。目の皮が残っている場合は、前の章のとおり、環境の見直しを待たずに早めに受診します。
まとめ
コーンスネークの脱皮について、この記事で整理した内容をまとめます。
- ヘビは皮を1枚につながった形で脱ぐ。脱皮前はしばらく隠れ、ウェットシェルターを使うことがある。そのあと体をこすりつけて脱ぎ、古い皮はすんなり取れるのが正常
- 頻度に決まった間隔はなく、若く成長している時期ほど多い
- 普段の湿度は40〜60%。脱皮前後は、湿らせた水苔を入れたウェットシェルター(3つ目のシェルター)で65〜70%に向けて局所的に上げる。ケージ全体は湿らせない。水ぶくれは湿りすぎのサインで、高すぎるなら換気を増やす
- 脱皮の前後は触らない。皮が残っても引っ張らない
- 体の皮が残ったら、少し温かい水に浸けてみる。目の皮が残っていたら、自分で剥がさず、なるべく早く爬虫類を診られる獣医に取り方を教わる
- 何度も残るなら、ウェットシェルターの有無、湿度計が測っている場所、温度を見直す。たいていは環境の調整で改善する
湿度は「上げるかどうか」ではなく「どこで上げるか」で決まります。ケージ全体を湿らせるのではなく、ウェットシェルターの中だけを上げ、外は普段の範囲に保つ。この形ができていれば、脱皮のたびに飼い主がすることはほとんどありません。環境を整えても皮が残り続ける、皮膚に水ぶくれがあるといった場合は、自己判断で対処を続けず、爬虫類を診られる動物病院に相談してください。