ニシアフ(ニシアフリカトカゲモドキ)は完全昆虫食のヤモリです。野菜も果物も食べません。ここは総合記事(ニシアフの飼い方)で触れたとおりですが、実際に飼い始めると悩むのはその先です。「何匹あげればいいのか」「週に何回なのか」「今日は食べなかったけど大丈夫なのか」。この記事では、サイズ別の給餌頻度と1回の量の決め方を中心に、ダスティングの手順、人工フードの現在地、食べない時に見る順番まで、餌やりの実務をまとめます。
給餌のたびに必ず使うことになるのが、餌にまぶすカルシウム剤です。ニシアフは夜行性でUVBライトを使わない飼い方が基本なので、ビタミンD3入りを最初にそろえておきます。
ニシアフが食べるもの、食べないもの
主食になるのはコオロギ(イエコ・フタホシ)とデュビアです。どちらを選んでも問題なく、入手のしやすさで選んで構いません。ミルワームは脂質が高めなのでおやつ程度、ハニーワームは食欲が落ちた時の切り札として、どちらも主食にはしません。餌虫ごとの管理方法やストックのコツはレオパの生き餌比較にまとまっており、ニシアフでもそのまま使える内容です。
一方で、野菜・果物・雑食向けフードは食べません。口にしないだけでなく、体の作りが昆虫を消化する前提になっています。「たまには野菜も」と考える必要はまったくなく、栄養の偏りはこの後に書くダスティングで補うのが正解です。
餌のサイズは「ニシアフの頭の幅より小さいもの」が目安です。大きすぎる餌は吐き戻しや消化不良のもとになるため、迷ったら小さめを複数匹に分けます。
サイズ別の給餌頻度
頻度は成長段階で変わります。基本の目安は次のとおりです。
| 成長段階 | 見た目の目安 | 頻度 | 餌のサイズ感 |
|---|---|---|---|
| ベビー | 全長15cm前後まで。体がまだ細い成長期 | 毎日 | SSサイズのコオロギなど、頭幅よりはっきり小さいもの |
| ヤング | 全長15〜20cm。体つきがしっかりしてくる | 2〜3日に1回 | S〜Mサイズ |
| アダルト | 全長20〜25cm。尻尾がぷっくりした成体 | 3〜5日に1回 | M〜Lサイズ |
ベビーは体を作る時期なので、食べるだけ食べさせて構いません。逆にアダルトで気をつけたいのは与えすぎです。ニシアフは尻尾に栄養をためる体質のため、餌を絞らないと肥満に向かいます。「毎日欲しがるから毎日あげる」は、アダルトでは裏目に出ます。
段階は月齢ではなく体格で見てください。ニシアフの成長スピードには個体差があり、同じ月齢でも体の出来上がり方はかなり違います。全長と尻尾の太さのほうが、いま何を必要としているかをよく表します。
1回の量の決め方:食べ止めを見る
「アダルトはコオロギ何匹」と決め打ちしたくなりますが、適量は個体のサイズと餌虫のサイズで変わるため、匹数の固定はおすすめしません。代わりに使えるのが「食べ止め」の観察です。
- ピンセットで1匹ずつ差し出す
- 勢いよく食いついている間は続ける
- 反応が鈍る、匂いを嗅ぐだけで口を開けない、顔をそむける。このどれかが出たら終了
食欲のピークが過ぎたサインが出た時点でやめる、というだけのシンプルな方法です。最初の数回で「この子はこのあたりで止まる」という感覚がつかめるので、以降はそれを基準にします。
あわせて月に1〜2回の体重記録をつけておくと、量の判断が安定します。体重が緩やかに増えている(ベビー・ヤング)か維持できている(アダルト)なら、いまの量で合っています。
給餌用のピンセットは、先が丸いステンレス製か竹製を選びます。先のとがったものは、食いついた勢いで口の中を傷つけることがあるためです。
ダスティングとサプリの使い方
餌虫はそのままだとカルシウムが足りず、リンが多い栄養バランスです。そこで給餌のたびに、カルシウムパウダーを餌にまぶす「ダスティング」を行います。やり方は簡単で、カップに餌虫とパウダーを入れて軽く振り、白くなった餌をすぐに与えるだけです。時間が経つと餌虫がパウダーを落としてしまうので、まぶしたらすぐ与えるのがコツです。
ニシアフは夜行性で、日光浴やUVBライトで体内のビタミンD3を作る機会がありません。D3が足りないとカルシウムを吸収できないため、D3入りのカルシウム剤を使うのが基本です。冒頭で紹介したタイプを毎回のダスティングに使えば、サプリはひとまずそれだけで足ります。マルチビタミン剤を足す場合は、毎回ではなく間隔をあけて使います。頻度と量は製品によって設計が違うので、お使いの製品の表示に従ってください。
人工フードは食べるのか
正直に書くと、ニシアフの人工フードは「食べたらラッキー」の位置づけです。レオパ用の人工フード(レオパゲルやグラブパイなど)を食べる個体もいますが、レオパに比べると食いつきは渋いことが多く、人工フードだけで飼う前提は立てにくいのが実情です。
現実的な付き合い方は次のようになります。
- お迎え前にショップで「何を食べているか」を必ず確認する。人工フードに餌付いた個体なら、その継続がいちばん確実です
- 生き餌で飼っている個体に試すなら、給餌日にまず人工フードを差し出し、食べなければ生き餌に切り替える。数回に分けて気長に試します
- 食べるようになっても、生き餌のストック体制は残しておく。ある日突然人工フードを拒否する個体もいるためです
人工フードは「生き餌の代わり」ではなく「食べてくれたら管理が楽になる保険」くらいの期待値で試すのが、がっかりしないコツです。
食べない時に見る順番
ニシアフはもともと食にムラのある個体が多く、1〜2回の食べ残しは珍しくありません。慌てる前に、次の順番で確認します。
- 温度:ホット側30〜32℃を保てているか。低温は食欲低下の一番よくある原因です
- 湿度:クール側60%以上あるか。乾燥が続くと調子を崩します。床材の保湿が効いていない場合はニシアフの床材の湿らせ方を見直します
- 脱皮前ではないか:体が白くくすんでいれば脱皮前です。食欲が落ちるのは自然なことなので、終わるまで待ちます
- 環境の変化:お迎え直後、ケージの変更、ハンドリングの増加。心当たりがあれば、数日そっとしておきます
1週間食べない場合は、上の1〜4をあらためて点検してください。環境を整え直してもさらに食べない状態が続く、あるいは体重減少や尻尾のやせが同時に出ている場合は、自己判断で引っ張らず、爬虫類を診られる動物病院に相談してください。
注意
「食べない」に「尻尾が細くなる」「体重が減り続ける」が重なった時は、様子見の対象ではありません。早めに動物病院へ相談してください。
まとめ
- ニシアフは完全昆虫食。主食はコオロギかデュビアで、野菜・果物は不要です
- 頻度の目安はベビー毎日、ヤング2〜3日に1回、アダルト3〜5日に1回。アダルトは与えすぎに注意します
- 1回の量は匹数で決め打ちせず、「食べ止め」のサインで区切る。月1〜2回の体重記録で答え合わせをします
- D3入りカルシウムのダスティングを毎回。夜行性のニシアフには必須の習慣です
- 人工フードは「食べたらラッキー」。生き餌の体制を残したまま、気長に試します
餌やりはニシアフとの距離がいちばん縮まる時間です。頻度と量の基準さえ持っておけば、食べムラに一喜一憂せずに付き合えます。飼育全体の見直しはニシアフの飼い方をどうぞ。