ニシアフリカトカゲモドキ(ニシアフ)は、モルフによって印象ががらりと変わるヤモリです。野生の姿に近い茶色のバンド模様から、白黒のモノトーン、白の面積が大きい個体まで、同じ種とは思えないほど幅があります。ただ、モルフ選びを始める前に知っておきたいことが2つあります。1つは、どのモルフを選んでも飼育の難易度は基本的に変わらないこと。もう1つは、モルフの価格は相場が動くもので、名前だけで金額が決まるわけではないことです。この記事では代表的なモルフの見た目を整理したうえで、価格が何で決まっているのか、そして選ぶ時に本当に見るべきポイントをまとめます。
ニシアフのモルフはレオパと何が違うか
レオパ(ヒョウモントカゲモドキ)のモルフは組み合わせを含めると数百種類ともいわれますが、ニシアフで流通の中心になっているのは10種類前後です。品種改良の歴史がレオパほど長くなく、繁殖の規模も小さいため、選択肢はぐっと絞られます。
もう1つの違いは価格帯です。レオパはノーマルなら5,000円から手が届きますが、ニシアフはノーマルで1万円台後半から。人気モルフになると数万円から数十万円まで上がります。流通量が少ないぶん、全体に一段高い相場になっていると考えてください。
種としての性格や飼いやすさの比較はレオパとニシアフの違い比較で詳しくまとめています。
代表的なモルフ
| モルフ | 見た目の特徴 |
|---|---|
| ノーマル | 茶系のバンド模様 |
| アルビノ | 黒色が抜けた明るいオレンジ〜ベージュ |
| キャラメルアルビノ | 名前どおりのキャラメル色 |
| オレオ | 黒と白のモノトーン |
| ゴースト | 全体に淡くかすんだ色合い |
| ホワイトアウト | 白の面積が大きくコントラストが強い |
| パターンレス | 成長すると模様が消える |
| ズールー | バンドが崩れた独特の模様 |
ノーマル
茶〜こげ茶のバンド模様が入る、野生の姿に近いタイプです。背中に白い1本ラインが通る個体もいて、同じノーマルでも表情はさまざま。流通量が最も多く、ニシアフらしい体色をいちばん手頃に楽しめるモルフです。
アルビノ
黒い色素が薄くなり、全体が明るいオレンジ〜ベージュになるモルフです。バンド模様は残るため、ノーマルの配色をそのまま明るくしたような印象になります。ニシアフの人気に火をつけた定番モルフの1つです。
キャラメルアルビノ
その名のとおり、キャラメルのような黄色みの強い体色になるモルフです。アルビノより暖色が濃く出る個体が多く、発色の良い個体ほど価格も上がる傾向があります。
オレオ
黄色やオレンジの色味が抜け、黒と白のモノトーンになるモルフです。ニシアフの丸い体型に白黒の配色が乗ると独特の存在感があり、近年人気が高まっています。
ゴースト
全体の色が淡く、かすみがかったような落ち着いた色合いになるモルフです。派手さはありませんが、しっとりした質感を好む人に選ばれています。
ホワイトアウト
白の面積が大きく、模様とのコントラストがはっきり出るモルフです。単体でも目を引きますが、他のモルフと組み合わさった個体も多く流通しており、実際に見かけるのはそちらのほうが多いモルフです。
パターンレス
ベビーの頃にあった模様が成長とともに消えていき、単色に近い姿になるモルフです。育てながら変化を見届けられるのもこのモルフならではの楽しみです。
ズールー
バンド模様が崩れ、背中にラインがつながるような不規則な模様になるモルフです。名前の響きから高額な印象を持たれがちですが、実際には他のモルフと組み合わさった個体が2万円台で出ていることもあり、ズールーだから高いとは限りません。
なお、モルフには遺伝のしかたにいくつかの型があり、掛け合わせで生まれる組み合わせも存在しますが、繁殖の領域はこの記事では扱いません。
ここで挙げたのは代表的なモルフです。シングルモルフとコンボモルフの組み合わせまで見たい場合は図鑑があります。
価格は「モルフ名」では決まらない
モルフ別の相場表を探している人は多いのですが、ニシアフに関しては、あまり役に立ちません。理由は、実際の販売ページを見ると分かります。並んでいるのは「オレオ」「ホワイトアウト」といった単体の名前ではなく、「ホワイトアウトオレオhetズールー」のように組み合わさった個体がほとんどだからです。
つまり「オレオはいくら」という値段は、そもそも市場に存在していません。実際の掲載価格は、おおよそ次のように散らばります。
| 価格帯 | どんな個体か |
|---|---|
| 2万円台〜 | 組み合わせが1〜2段階まで。ズールー系やホワイトアウト系でもこの帯に入る個体があります |
| 4万〜8万円 | 人気の組み合わせ。複数のモルフが重なり、het表記が付くことも多い帯です |
| 10万円超 | 希少な組み合わせ、質の高い国内ブリード個体など。数は多くありません |
同じ「ズールー」でも2万円台の個体と10万円を超える個体があります。名前が同じでも金額がまるで違うのは、価格を動かしているのが組み合わせの段数・het(見た目に出ない遺伝子)の有無・産地(国内CBか海外CBか)・サイズと性別だからです。
したがって、モルフ名から予算を逆算するのではなく、予算を決めてから、その範囲に入っている個体の中で状態の良いものを選ぶほうが現実に合っています。相場は流通量で動くので、金額はそのつど販売ページで確認してください。
モルフで飼育難易度は変わるのか
基本的に変わりません。どのモルフも同じニシアフで、必要な温度も湿度も餌も共通です。湿度60〜80%を保つというこの種の基本は、ノーマルでもズールーでも同じ。飼育全体の流れはニシアフの飼い方ガイドを、この種の核心になる湿度の実務はニシアフの湿度管理を参照してください。
アルビノ系は強い光が苦手な傾向があるといわれますが、ニシアフはもともと夜行性で強い照明を使わない飼い方が基本のため、実務上の差はほとんど出ません。
注意したいのは、モルフの違いよりも「高い個体=丈夫な個体ではない」という点です。価格は希少さで決まるのであって、体の強さで決まるわけではありません。また、どのモルフであってもベビーはアダルトより環境の変化に敏感で、立ち上げに気を使います。初めてなら、モルフにかかわらずある程度育った個体から始めるほうが安心です。
選ぶ時に見るのは、見た目より個体の状態
モルフ選びで後悔しないコツは、色柄を決めた後に「その中で状態の良い個体」を選ぶことです。お店やイベントで確認したいのは次の4点です。
- 尻尾の太さ:ニシアフは尻尾に栄養を蓄えます。付け根からふっくらしているかを見てください。細い個体は状態を崩している可能性があります
- 目と体つき:目が落ちくぼんでいないか、骨格が浮いて見えないか。じっとしていても、近づいた時に反応があるかも観察します
- 何をどれくらい食べているか:販売者に必ず聞いてください。コオロギなのか人工フードなのか、食べている頻度はどうか。餌の種類と頻度の考え方はニシアフの餌と給餌頻度にまとめています
- ベビーかヤング以降か:同じモルフでもベビーは安く出ることがありますが、そのぶん立ち上げの難易度は上がります。価格差には理由があると考えてください
注意
発色や模様は個体のコンディションや成長で変わります。「写真と色が違う」と感じることは珍しくありません。気になる個体は写真だけで決めず、できるだけ実物を見て、状態について販売者に直接確認してから迎えてください。
まとめ
- ニシアフのモルフはレオパより種類が少なく、価格帯は一段高い。流通の中心は10種類前後
- 価格はモルフ名では決まらない。流通の中心はモルフが組み合わさった個体で、同じ名前でも2万円台から10万円超まで幅がある。組み合わせの段数・het・産地・サイズで動く
- モルフで飼育難易度は基本的に変わらない。必要な環境はどのモルフでも同じ
- 選ぶ時は色柄を決めた後に個体の状態を見る。尻尾の太さ・目と体つき・食べている餌・成長段階の4点を確認する
どのモルフを選んでも、迎えた後にやることは変わりません。お迎えを決めたら、まずはニシアフの飼い方ガイドで環境の準備から整えていきましょう。