アオジタトカゲのケージは、長さ120cmを3つの出典が共通して挙げる横に広い箱です。その中に熱源、石、シェルター、水入れ、床材をどう配置するかで、同じ寸法でも過ごし方が変わります。ケージの寸法、温度やUVBの数字はアオジタトカゲの飼い方が持っているので、この記事は「中に何を、どこへ置くか」に絞ります。

もとにしているのは、RSPCA(英国の動物保護団体)、RSPCA Australia(豪州・獣医専門医が執筆)、RVC(ロイヤル獣医センターの日本語ケアシート)の3つのケアシートです。置き方の基本は3出典でほぼ揃っていますが、「登れる石や枝を入れるか」は書き方が分かれるので、分かれたまま並べます。

先に決めておきたいのがシェルターです。英国のRSPCAは、体に合った大きさの隠れ家を暖かい側と涼しい側の両方に置くことを必須としています。

置き場所と立ち上げ前の試運転

レイアウトの前に、ケージを部屋のどこに置くかを決めます。英国のRSPCAは、温度変化を避けるために、すきま風、暖房器具、直射日光から離れた場所に置くように、としています。換気が十分であることも、細菌の繁殖と感染を減らすために欠かせない点として挙げています。

窓際は向いていません。英国のRSPCAは、UVBは窓ガラスを通らないので、ケージを窓際に置くのではなく、ケージの中に爬虫類用のUVBランプを設置するように、としています。RSPCA Australiaが日光での代用に付けている条件も「ガラスなどで濾過されていない日光」です。

置く場所が決まったら、生体を迎える前にケージを組んで動かします。英国のRSPCAは、迎える前に最低1週間、環境を稼働させるように、としています。機器の不具合が出るのを待って直し、生体が来る前に管理に慣れるためです。迎えた初日は餌と水を置いて翌日まで干渉せず、最初の1週間はハンドリングを控えて自分のペースで探索させる、とも同じ出典が書いています。この時間に個体がどこで過ごすかを見ておくと、置き物の位置を直す材料になります。

ケージ本体の素材や前開き・上開きの違いは初めてのケージ選びにまとめています。

温度勾配は「片側に熱源」で作る

レイアウトの骨組みは、熱源をどちらの端に置くかで決まります。英国のRSPCAは、熱源をケージの片端に置き、反対側を涼しいままにして、個体が移動して体温を調節できる温度勾配を作るように、としています。RSPCA Australiaも、両端のあいだに温度の勾配を作って個体が居場所を選べるようにする、という書き方で、RVCもはっきりした温度勾配を必要とする種としています。

つまり、左右どちらかを「暖かい側」と決め、熱源、バスキング用の石、UVBランプをそこへ寄せ、反対側を「涼しい側」として水入れと湿度計を置くのが基本形です。各ゾーンの温度の数字は出典で割れているので、アオジタトカゲの飼い方で出典ごとに確かめてください。暖かい側に置くものは、英国のRSPCAが具体的に書いています。

置くもの 置き方 出典
熱源 ハロゲン球か、光を出さないセラミックヒーターを下向きに取り付け、ガードを付ける RSPCA(英国)
サーモスタット すべての熱源に付ける。プローブは床材の上に置く RSPCA(英国)
バスキング用の石 直径30cmほどの平たい石。背中が熱源から25cm以内に近づかないようにする RSPCA(英国)
温度計 プローブをクール側とバスキングゾーンの2か所に置き、最高と最低を毎日確かめる RSPCA(英国)
UVBランプ 天井の暖かい側寄りに反射板つきで取り付け、光から日陰への勾配を作る RSPCA(英国)

バスキング用の石について、RSPCA Australiaも、登れない種ではあるが、大きく平らなバスキング用の石があると喜ぶ、としています。高さのある台ではなく面の広い平たい石、という点で2つの出典は揃っています。厚い石を置くほど背中は熱源に近づくので、石を替えた時は距離を測り直してください。英国のRSPCAは、床材に半分埋まった状態でバスキングするのを好む、ともしているので、石のまわりに潜れる床材が続く配置が合います。

UVBランプは、RVCがトカゲが近づきすぎない位置に配置するとし、英国のRSPCAはUVランプにもガードを付けて夜はすべての照明を消すように、としています。強さや管の選び方はフトアゴヒゲトカゲのUVBライトに整理しています。

シェルターは暖かい側と涼しい側の両方に

シェルターは3出典のどれもが挙げています。数と場所は、英国のRSPCAとRVCがはっきり書いています。

出典 シェルターの置き方 あわせて挙げている置き物
RSPCA(英国) 体に合った大きさの隠れ家を、暖かい側と涼しい側の両方に。必須 湿らせたモスを入れた湿った隠れ家
RSPCA Australia シェルターを用意する 大きな岩や空洞の丸太
RVC(獣医のケアシート) ウォームシェルターとクールシェルター。複数のシェルター コルクバーク、丸太、落ち葉、丈夫で低いレイアウト用品

「両方の端に」とする理由は、温度勾配と合わせて読むと分かります。隠れ家が片側にしかなければ、個体は温度と安心のどちらかを諦めることになります。RVCがウォームシェルターとクールシェルターを分けて書いているのも同じ考え方です。RSPCA Australiaは、野生では朝にバスキングして餌を探し、食べ終わると大きな岩や空洞の丸太に戻ることを紹介していて、空洞の丸太やコルクバークが出典で挙がるのはこの過ごし方に沿っているためです。

英国のRSPCAが挙げる「湿った隠れ家」は、隠れ家にモスを入れてきれいな水で霧吹きして湿らせたもので、ケージ全体の湿度を上げずに局所的に湿度の高い場所を作る置き物です。全体の湿度は亜種で適した範囲が違うので、数字はアオジタトカゲの飼い方の「湿度は亜種で変わる」の節を確かめてください。

植物については、RSPCA Australiaが、入れすぎるとこの開けた草地に暮らす種には湿度が高くなりすぎることがある、と注意しています。入れる場合は、クール側の湿度計の数字を見ながら少しずつにします。

水入れはクール側に

英国のRSPCAは、大きくて浅い皿にきれいな新しい水を入れて、常にクール側に置く、としています。大きさについてはRVCが、体を浸せる大きさの水入れとしています。合わせると、クール側に、体が入る広さで縁の低い皿を置く、という形になります。

水は、英国のRSPCAによると毎日替え、水入れの中で排泄した時はその都度替えます。置いた水を飲まない個体もいて、同じ出典は、その場合は湿度に応じて毎日か1日おきにケージを軽く霧吹きし、野生でそうするように水滴を集めて飲めるようにする、としています。飲んでいる様子がない時は、水入れを替える前に、霧吹き後に水滴を舐めているかを見てください。

水入れと湿度計は同じ側です。英国のRSPCAは湿度計をクール側で測るように、とし、RSPCA Australiaもデジタル湿度計のプローブをクール側の地面に置くとしています。湿度が低い時は霧吹き、高い時は換気を増やす(RSPCA英国)ので、水入れの大きさを変えた時は湿度計の数字も見直す順番になります。

なお、英国のRSPCAは、長い時間水の中に座っているなら皮膚の病気かダニの可能性がある、としています。普段より明らかに長く浸かっている時は、アオジタトカゲの体調チェックの受診の目安を確かめ、爬虫類を診られる動物病院に相談してください。

「登らない」前提で低く丈夫に組む

高さのある流木タワーのように組む必要はありません。RSPCA Australiaは、短い脚のため登ることが非常に難しいとし、ケージは高さより長さを取るように、としています。RVCも、高さより床面積が重要として、レイアウト用品は「丈夫で低いもの」としています。体重は約1kg(RSPCA Australia)あるので、置き物は体重をかけても動かない、崩れないものを選びます。ただし、登ることについては出典が割れています。

出典 登ることについての書き方
RSPCA(英国) エンリッチメントとして、登るための石や枝を用意する
RSPCA Australia 短い脚のため登ることが非常に難しい。登れないが、大きく平らなバスキング用の石は喜ぶ
RVC(獣医のケアシート) 丈夫で低いレイアウト用品。高さより床面積

英国のRSPCAが「登るための石や枝」と書き、RSPCA Australiaが「登れない」と書くので、この記事ではどちらかに統一しません。3出典に共通しているのは、置くなら低く、丈夫で、床の広さを奪わないものにする、という点です。枝を入れる場合も、「背中が熱源から25cm以内に近づかない」(RSPCA英国)は、熱源の下に置くすべての置き物に当てはめて確かめてください。RVCは、歩き回って採食できる広い床を用意するように、としていて、置き物で床を埋めるほどこの床が減ります。

掘る・探す・並べ替える

アオジタトカゲは潜る種で、3出典とも掘れる床材を勧めています。厚みと材料、避ける床材はアオジタトカゲの飼い方の床材の節にまとめているので、ここでは床材がレイアウトとしてどう働くかだけ書きます。英国のRSPCAは、掘れる厚みの床材は、潜る行動を保つだけでなく、ストレスを減らし、自分で湿度を調整する助けになる、としています。

床材の上に何を置くかで過ごし方が変わります。RVCは、掘れる床材、複数のシェルター、丸太、落ち葉、歩き回って採食できる広い床を用意し、餌をばらまいたり隠したりして自然な探索を促すように、としています。レイアウトの組み替え、新しい安全な餌の提供、バスキングと穴掘りの選択肢を用意することも、好奇心旺盛なこのトカゲに良い刺激を与える、としています。一度組んだレイアウトを固定するのではなく、丸太や石の位置をときどき変えること自体が、エンリッチメントに数えられています。

餌の時間帯は、RSPCA Australiaが、朝のバスキングを終えて活動的になった遅い午前から正午にかけて与え、食べ終わったら取り除く、としています。何をどの割合で与えるかはアオジタトカゲの餌に整理しています。

掃除と点検

レイアウトは、組んだ時より掃除のたびに崩れます。頻度と、その時に見る点を出典から並べます。

頻度 すること 出典
毎日 糞はすぐスポット清掃する。水を替える。温度計の最高と最低を2か所で確かめる RSPCA(英国)
毎日 糞と尿酸を取り除き、汚れた床材はすくって替える RSPCA Australia
2〜3週間ごと 床材を全交換する RSPCA Australia
月1回 爬虫類用の消毒剤でケージ全体を清掃し、壁、ガラス、置き物を丁寧に拭く RSPCA(英国)

英国のRSPCAは、掃除や取り扱いの前後に手を洗うように、としています。サルモネラについては、獣医師団体のARAVが、すべての爬虫類を保菌している可能性があるものとして扱うよう求めています(爬虫類のサルモネラ対策)。

月1回の全体清掃は、置き物を一度すべて出す機会です。戻す時に、熱源の位置、バスキング用の石と熱源の距離、両端のシェルター、クール側の水入れと湿度計、という配置が崩れていないかを確かめてください。石や丸太を動かすと熱源との距離も変わるので、組み替えたあとは温度計の最高と最低をいつもどおり2か所で見ます。

毎日・毎月に体の何を見るかはアオジタトカゲの体調チェックにまとめています。レイアウトを変えた直後に食欲や過ごす場所が変わった時は、まず配置と温度計の数字を疑い、それでも続くなら爬虫類を診られる動物病院に相談してください。

まとめ(置いたあとのチェック)

  • ケージは、すきま風、暖房器具、直射日光から離れた場所にあり、窓際ではない(RSPCA英国)
  • 熱源は片端にあり、反対側が涼しい側になっている(3出典共通)。熱源とUVBランプにガードがあり、サーモスタットのプローブは床材の上にある(RSPCA英国)
  • バスキング用の石は大きく平ら(RSPCA Australia)で、その上で背中が熱源から25cm以内に近づかない(RSPCA英国)
  • シェルターは暖かい側と涼しい側の両方にある(RSPCA英国・RVC)
  • 水入れは大きく浅く、クール側にある(RSPCA英国)。体を浸せる大きさ(RVC)。湿度計も同じクール側
  • 置き物は低く丈夫で、歩き回れる床が残っている(RVC・RSPCA Australia)。登れる枝を入れるかは出典が割れている
  • 植物は入れすぎていない(RSPCA Australia)
  • 迎える前に最低1週間、このまま稼働させた(RSPCA英国)

各ゾーンの温度、UVBの強さ、湿度、床材の厚みは、出典で割れているものを含めてアオジタトカゲの飼い方に出典ごとに並べてあります。レイアウトを組んだら、温度計と湿度計の実測がそちらの目安の範囲に入っているかを確かめてください。