種ごとの飼い方の記事を順に読むと、物差しが記事ごとに違っていて横に並べにくいことがあります。この記事では、このサイトで飼い方を扱っている7種(レオパ、ニシアフ、クレス、フトアゴ、コーンスネーク、ボールパイソン、アオジタ)を、RVC(ロイヤル獣医センターの日本語ケアシート)の難易度・寿命・成体の大きさ・ケージの最小サイズ・餌の型で一つの表に並べます。「どの種がいちばん良いか」は決めません。並べるところまでが仕事で、合う側を選ぶのは読む人です。レオパとニシアフの2種に絞った比べ方はレオパとニシアフの違いが持っていて、この記事はその手前の位置づけです。

種を選ぶ前に:爬虫類は「手間がかからない」動物ではない

RSPCA Australia(豪州)の「爬虫類は自分に合ったペットか」というケアシートは、飼育下で繁殖された個体であっても爬虫類は本質的に野生動物であり、「手間がかからない」動物でも「世話が簡単な」動物でもなく、住まい・加温・照明などが要る、と書いています。費用については、動物そのものはそれほど高くなくても、最初の飼育環境の設置に500〜1000ドル以上かかることがあり(原文は「$」表記)、その後も電気代・獣医の費用・餌などが毎年かかる、としています。この記事では円に換算した数字は出しません。

もう一つ、同じ出典が先に確かめるよう勧めているのが動物病院です。爬虫類の経験がある獣医はどこにでもいるとは限らないので、いちばん近い専門の獣医までの距離と、通常と緊急時の費用を調べておくとよい、としています。この確認は、どの種を選ぶにしても先に済ませられます。

7種を同じ物差しで並べる

RVCは7種それぞれのケアシートの冒頭に、飼育難易度・寿命・成体の大きさを並べて書いています。それにケージの最小サイズと餌の型を加えて一つの表にします。数字はすべてRVCのものです。

種 難易度(RVC) 寿命 成体の大きさ 成体1匹のケージ 餌の型
レオパ(ヒョウモントカゲモドキ) 初級 15〜20年、それ以上も 尾を含めて20〜25cm 90×45×45cm以上 昆虫(成体は2〜3日に1回)
ニシアフ(ニシアフリカトカゲモドキ) 初級 15〜20年 尾を含めて18〜23cm 90×45×45cm以上 昆虫(成体は2〜3日ごと)
クレス(クレステッドゲッコー) 初級 15〜20年 尾を含めて20〜25cm 45×45×60cm以上(背の高い型) 粉末フード(CGD)が主食。生きた昆虫は必須ではない(成体は1日おき)
フトアゴ(フトアゴヒゲトカゲ) 中級 8〜12年、ときに15年ほど 尾を含めて40〜60cm 120×60×60cm以上の床面積 雑食(成体は葉物野菜と野菜が約70〜80%、昆虫は週2〜3回)
コーンスネーク 初級 15〜20年、ときに23年以上 120〜150cm、まれに180cmほど 120×60×60cm以上(脱走されない蓋) 冷凍を解凍したマウス(成体は10〜14日ごと)
ボールパイソン 初級 20〜30年、まれに40年以上 オス90〜120cm、メス120〜150cm 120×60×60cm以上 冷凍を解凍したラットまたはマウス(成体は10〜21日ごと)
アオジタ(アオジタトカゲ) 中級 15〜20年、ときに30年ほど 尾を含めて45〜60cm 約120×60cm以上の床面積(できればさらに広く) 雑食(植物約50%、動物約50%)

7種とも、RVCは1つのケージに1匹の単独飼育としています。「2匹一緒に飼う」前提の選び方は、7種のどれにもあてはまりません。

メモ

RVCの難易度ラベルは「初級」と「中級」の2段階しかなく、7種の中での順位ではありません。初級の5種の間に優劣はついていません。RSPCA Australiaが書くように爬虫類は「世話が簡単な」動物ではないので、初級を「手間が少ない」と読み替えないでください。

温度・湿度・紫外線の数字は、種ごとに値も考え方も違い、横に並べると誤解を招くので表に入れていません。各種の飼い方の記事が持っています。

物差し①大きさとケージ:ヤモリ3種は小さめ、トカゲとヘビは床120cm前後

表のケージの列で、7種は大きく2つに分かれます。

  • 床90×45cm前後、または背の高い45×45×60cm:レオパ、ニシアフ、クレス。クレスだけは床面積より高さを取る型で、置き場所の形が違います
  • 床120×60cm以上:フトアゴ、コーンスネーク、ボールパイソン、アオジタ。アオジタはRVCが「できればさらに広く」と添えています

ヘビ2種は、成体の大きさの列と一緒に見てください。コーンスネークは120〜150cm、ボールパイソンもメスで120〜150cmになり、RSPCA Australiaは、ヘビの主なケージはヘビが体を伸ばした長さより長くなければならない、としています。体が細いから小さいケージで足りる、とはなりません。なお、RVCの表の120cmは、成体の大きさの列の上限(コーンスネークの180cmほど、ボールパイソンのメスの150cm)より短い数字です。出典どうしで書き方が違う所なので、ケージの長さは、迎える個体の実際の大きさを見て決めてください。

表の数字はいずれも「以上」で上限ではありません。部屋にどのくらいの床面積を置けるかが決まると、候補は自然に絞れます。ケージの選び方ははじめてのケージ選びにまとめています。

物差し②餌:昆虫・粉末フード・冷凍のネズミ・野菜、どれなら続けられるか

餌の型は、自分の生活に何が入ってくるかの問題です。表の餌の列を4つに分けます。

生きた虫に触れるか、冷凍のネズミを食品と同じ冷凍庫に入れられるかは、同居する家族がいるなら自分一人では決められないこともあります。迎える前に家の中で話しておく列です。

物差し③寿命:15〜20年が多く、ボールパイソンは20〜30年

表の寿命の列は、15〜20年の種が多く、ボールパイソンが20〜30年(まれに40年以上)、フトアゴが8〜12年(ときに15年ほど)です。コーンスネークはときに23年以上、アオジタはときに30年ほど、とRVCは添えています。どの種も十年単位の付き合いです。

RSPCA Australiaは、爬虫類と暮らすことは長期のコミットメントだとして、旅行や入院で自分が世話できない期間に誰が主な世話をするのか、友人や家族と話し合って計画しておくよう勧めています。この列で見るのは「短い種を選ぶ」ことではなく、表の年数のあいだに暮らしが変わっても世話を続けられる見通しがあるかです。

難易度の読み方:出典で割れている所は、割れたまま読む

RVCは、レオパ・ニシアフ・クレス・コーンスネーク・ボールパイソンを「初級」、フトアゴ・アオジタを「中級」としています。一方、RSPCA Australiaの「この爬虫類は自分に合っているか」というケアシートは、ヤモリ類(geckos)はより多くの知識と経験が要るとし、別の箇所でも、ヤモリ類とオオトカゲ類はより専門的な世話が要るので経験のある飼育者だけが飼うべきだ、と書いています。RVCが初級とするヤモリ3種と、この書き方は、そのままでは重なりません。RSPCA Australiaのそのケアシートが人気の種として挙げているのは、アオジタ、フトアゴ、カーペットパイソンなどオーストラリアの種で、RVCの7種と一対一で突き合わせられるものではありません。この記事ではどちらかに決めず、割れたまま示します。

決め手になるのは、物差し①のケージを置けるか、②の餌を扱えるか、③の年数を付き合えるか、という自分の側の条件で、これは出典が割れていても変わりません。

7種の入口:各種の飼い方の記事へ

表の各行を一言にほどいて、飼い方の記事へつなぎます。書いてあるのは表から読める範囲だけです。

  • レオパ:初級。床90cm前後のケージ、昆虫食、寿命15〜20年。レオパの飼い方へ
  • ニシアフ:初級。7種で最も小さく、ケージと餌の型はレオパと同じ枠。ニシアフの飼い方へ
  • クレス:初級。7種で唯一、高さを取るケージで、粉末フードを主食にできる。クレスの飼い方へ
  • フトアゴ:中級。床120cm前後のケージ、野菜が約70〜80%の雑食、寿命は7種で最も短い8〜12年。フトアゴの飼い方へ
  • コーンスネーク:初級。成体120〜150cm、脱走されない蓋のあるケージ、解凍したマウス。コーンスネークの飼い方へ
  • ボールパイソン:初級。解凍したラットかマウス、寿命は7種で最も長い20〜30年。ボールパイソンの飼い方へ
  • アオジタ:中級。床120cm前後でできればさらに広く、植物と動物が半々の雑食。アオジタの飼い方へ

迷った時の絞り込み:表から導ける4つの問い

順位の代わりに、表から導ける4つの問いを置きます。答えは人によって違い、この記事は答えを出しません。

  1. 床120×60cm以上のケージを、成体の間ずっと置けるか。置けないなら、表の上ではレオパ・ニシアフ・クレスに絞られます
  2. 生きた昆虫を買い、保管し、与える作業を続けられるか。続けられないなら、表の上ではクレスとヘビ2種が残ります。フトアゴは成体でも週2〜3回の昆虫が入り、アオジタも、RVCは餌にガットローディングした昆虫を挙げています
  3. 冷凍のネズミを家の冷凍庫で保管し、解凍して与えられるか。できないなら、ヘビ2種は表の上では外れます
  4. 表の寿命のあいだ、世話を続ける見通しが立つか。いちばん短いフトアゴでも8〜12年、ボールパイソンは20〜30年です

4つすべてに「できる」なら候補は絞れず、それで構いません。その先は各種の飼い方の記事で、温度や湿度のような表に載せていない部分で比べることになります。

まとめ

  • RSPCA Australiaは、爬虫類は「手間がかからない」動物でも「世話が簡単な」動物でもないとしています。初期設備に500〜1000ドル以上(原文は「$」表記)かかることがあります
  • 7種をRVCの同じ物差しで並べると、ケージの床は90cm前後の3種と120cm前後の4種、餌は昆虫・粉末フード・冷凍のネズミ・野菜の4型、寿命は15〜20年が多く、ボールパイソンは20〜30年。7種とも1ケージ1匹です
  • 難易度は出典で割れています。RVCは5種を初級・2種を中級、RSPCA Australiaはヤモリ類をより専門的としています。この記事はどちらにも決めません
  • 絞り込みはケージを置けるか・餌を扱えるか・年数を付き合えるかという自分の側の条件で行い、順位では行いません

候補が絞れたら、各種の飼い方の記事で温度や湿度の管理まで読んでから決めてください。爬虫類を診られる動物病院の場所と費用を調べておくことは、どの種を選ぶ場合にも先に済ませられる準備です。